万年筆で使用されている、ブルーブラックインクはご存知でしょうか?
ブルー系のカラーですが、ブラックに近い色のインクで、現在は染料系のインクが主流になっています。
昔は万年筆のインクというと酸性インク(古典インク)で、書いたときはブルーで化学変化が起こり、ブルーの筆跡がブラックに近い色に変化します。
今では古典インクと呼ばれていて、海外のペリカンのブルーブラックと日本の万年筆メーカーのプラチナ万年筆のブルーブラックが酸性の古典インクを販売しています。
今回はプラチナのブルーブラックについてご紹介したいと思うのですが、プラチナではブルーブラックインクは、カートリッジとボトルインクが販売されています。
同じブルーブラックで同じ色なのか、実際に色々と検証と考察をしたいと思います。
カートリッジインクは、同じ万年筆メーカーから販売されている万年筆とカートリッジのみ使用する事ができます。
違うメーカーの万年筆では、使用できないので注意してください。
- プラチナのブルーブラックインクとはどのようなインク?
- カートリッジとボトルインクの色の違いはあるのか?
- 古典インク(酸性インク)の取扱いの注意点とメンテナンス時に気をつける事とは?
古典インクのブルーブラックついて
ボールペンが普及する前は、万年筆が主な筆記具として使用されていました。
仕事で使用するような書類では、染料系のインクでは水に濡れると溶けだして読めなくなるので、耐水性のあるインクを使っていました。
なじみのある例を挙げると、家庭用のインクジェットプリンターなら、染料インクと顔料インクがありますね!
染料系インクに酸性の鉄イオンの成分を含ませて、鉄イオンが空気に触れて酸化して、黒化するようにしたのがブルーブラックインクです。
万年筆で執筆直後はブルーですが、時間が経過すると黒く変化する事が特徴のインクです。
インクの成分は染料インクと没食子+鉄イオンからできていて、酸性インクのため、当時の万年筆のニブは鉄のため腐食するので、注意が必要でした。
鉄製ニブでは酸性インクでは腐食するので、腐食しない金製のニブが使われるようになり金ペンと呼ばれます。
今では、腐食しやすい鉄に変わってステンレス合金が使用され、腐食しないように工夫がされていて、鉄ペンと呼ばれます。
鉄に替ってステンレスが使用されるようになってからは、インクで腐食されないようにニブの材質の改良と同時にインクも腐食しないように改良されてきました。
耐水性のあるインクとしては、顔料インクがあり、乾くと水では流れにくいインクなので保存が必要な書類では顔料系がおススメですが、万年筆内部で乾燥するとインク詰まりの原因になるので、顔料インクではお手入れが大事になります。
もし心配なら、プラチナ万年筆から万年筆を洗浄する洗浄剤が発売されているので、顔料インクを使用する場合はいいかもわかりません。
余談ですが、私は万年筆はビジネスではなく趣味として使用をしていて、ビジネスや保存が必要な場合は油性のボールペンで執筆するようにしています。
国産メーカーで唯一酸性のブルーブラックのインクです
染料系のブルーブラックは国産を問わず海外メーカーを含めてたくさん販売されていますが、ブルーブラックの古典インクは海外ではペリカンと国内では万年筆メーカーのプラチナ万年筆が販売しています。
以前は顔料インクがなく、耐水性のインクとして酸性のインクが使われていましたが、現在は顔料インクがあるので、染料インクのブルーブラックインクが多いです。
私見ですが、油性のボールペンのインクが改良されてよくなったので、あえて万年筆で仕事や重要な書類などは使用しなくなり、需要が減少したと思います。
酸性のブルーブラックインクの特徴とは
古典のブルーブラックインクは空気に触れると酸化するので、執筆時にはブルーの色ですが時間が経過すると黒化する性質があり、インクの性質としては酸性インクになります。
金属の鉄は酸性の成分で腐食してしまうので、酸性のブルーブラックは注意が必要でしたが、現在は万年筆のニブの材質が改良されているので、腐食の心配はありません。
古典のブルーブラックのインクも改良されていて、鉄イオン成分の割合が少なくなり、腐食しずらくなっています。
ブルーブラックの成分が改良された影響で現在では、執筆後に黒化する事はあまりなく、執筆前に万年筆内で黒化する事が多いです。
ブルーブラックの注意点について…
万年筆は定期的にお手入れが必要ですが、染料の成分は水に溶けるので、水で洗い流せるのですが酸性の鉄イオンは水に溶けずらいので、アルコビン酸(ビタミンC)で洗浄が可能です。
毎回アルコビン酸で洗浄する必要はなく、数回に一度洗浄すれば大丈夫です。
ボトルとカートリッジの違いについて
万年筆でも入門用の低価格の万年筆以外は、コンバーター、カートリッジの両方に対応している万年筆が多いと思います。
今回プラチナのブルーブラックの比較をするために使用したのが、入門用のプラチナ万年筆のプレジールになり、価格もネットでは1,000円以下で購入することができますが、カートリッジのみ使用可能です。
ブルーブラックインクを試すだけなら、プラチナからプレピーという数百円で購入できる万年筆を販売されていて、プレジールと同じニブなのでおススメです。
首軸などを見ると、首軸にシール処理がなくインク漏れしそうな感じがしたので、ボトルインクは使わない方がいいと思います。
今回は、ニブの先端のみボトルインクをつけて、色の比較テストをしました。
以前は価格の割に書き味がいいのでよく使用していましたが、最近は金ペンの万年筆の使用が多いので、あまり使用していないのですが、久しぶりにプレジールを使いたくなったので、テスト用として使用しました。
ボトルインクについてですがプラチナのブルーブラックは、ボトル内にリザーバーが内蔵されているので、インク残量が少ないなっても、無駄なく使用する事ができます。
プレジールに空のコンバーターを装着しましたが使えそうな感じですが、インク漏れの心配があったので使用する事は控えました。
ちなみにプレジールもプラチナ万年筆・インク乾き防止のスリップシール機構が搭載されています。
万年筆は慣れてくるとコンバーターを使用したくなります
始めて万年筆を使用する場合は、やはり管理やお手入れが難しそうと思うので、カートリッジから万年筆を使う方が多いと思います。
私も初めはカートリッジから始めましたが、本格的に万年筆を使用したくなり、コンバーターなどのインクの吸入器を使用して、ペン先よりボトルインクを吸入して、色々なメーカーのインクを使用したくなりました。
コンバーターでペン先よりインクを吸入をすると、万年筆を使用している気分になり楽しくなります!
万年筆では、ボトルにペン先をつけてインクを吸入し使用する事は、高級な筆記具を使用しているみたいで憧れますね!
その時に使用していた万年筆が、今回テストで使用したプレジールで、カートリッジインクを万年筆にセットして1年間放置していましたが、ドライアップや執筆時にカスレもなく、トラブルなく万年筆を使用する事ができました。
恐るべし、プラチナ万年筆のスリップシール機構ですね!
放置した原因は万年筆は衝動買いだったので、購入後はあまり興味がなくなり、放置していました。
万年筆には、自社のインクを使用するように明記していますが、実際にはあまり気にする必要はありません。
しかし万年筆にトラブルがあり保証期間内で修理を依頼する場合は、他社製のインクを使っていると保証が効かない場合があるので、保証期間内は万年筆メーカーのインクがいいかもわかりません。
コンバーターを使用したくなる理由について
日本の万年筆は、ペン先からの吸入はコンバーターが多いです。
海外で有名なペリカンやモンブランは本体吸入方式を採用していますが、初めて万年筆を使用する方には、お手入れの事や価格などを考えると、少し敷居が高いと思います。
ペリカンやモンブランは高価な万年筆なので、使い切れない場合はもったいないと思います。
本体吸入式の万年筆なら、台湾のメーカーのTWSBI(ツイスビー)が数千円から購入が可能です。
私はニブの書き味が好きなので、国産メーカーではセーラー万年筆を中心に使用しているのですが、セーラー万年筆はすべてコンバーターを使用しています。
最近の万年筆はカートリッジ、コンバーターの両方に対応なのでどちらでもいいのですが、やっぱりいろいろなインクを使用したい気持ちが強いので、コンバーターを使用しています。
- 本格的に万年筆を使用しているように思えるから
- ボトルインクなら色々なインクを使用できるから
- カートリッジに比べるとランニングコストが安くなるから
コンバーターのデメリットは一言でいえば、お手入れの手間がかかる事で、私は細かな所を気にする性格なので、なるべくコンバーターも分解掃除をしています。
ブルーブラックインクのボトルとカートリッジの比較について!
今回紹介しているプラチナのブルーブラックインクですが、色は他社のブルーブラックに比べると、かなり青い色になります。
プラチナ製のインクなので、ボトルインクとカートリッジでは違いがないと思っていましたが、実際にはかなり色が違うので注意が必要です。
ボトルインクに比べると、カートリッジのブルーブラックは色が薄いので、ブルーブラックインクというよりはブルーインクのような雰囲気です。
実際に使い始めは違和感がありましたが、使っていれば慣れてきて、この色もアリなのかもしれないと思っています。
万年筆にセットしたカートリッジインクは使用していると、カートリッジ内のインクが酸化してきて、少しずつ色が濃くなってきます。
カートリッジの使い始めと使い切る前では色が違うので、色の変化が楽しいですよ!
ボトルインクとカートリッジの両方に対応している万年筆ならいいのですが、プレジールとプレピーは対応はしていないので注意してください。
カートリッジとボトルインク両方に言える事ですが、プラチナのブルーブラックは明るめの色になります。
ボトルインクの色と比較してカートリッジインクは、明るいと言うよりも色が薄い感じがします。酸性のブルーブラックインクなので、執筆後は少しは黒化しますがあまり変化しないです。
使用する前のカートリッジ・ボトルインクは黒化しますが、執筆後は変化は少ないです。
どちらのインクも使用する前に、インク内に含まれる鉄イオンが酸化して黒化してきます。
ブルーブラックの鉄イオンは空気中の酸素によって、酸化して色が黒くなってきます。
最後に…
今回はプラチナ万年筆・ブルーブラックのご紹介をしました。
ブルーブラックのインクは落ち着いたいい色なので、万年筆を普段使いの筆記具として使用するなら、おススメしたいインクです。
私はカートリッジとボトルインク両方のブルーブラックを持っているのですが、初めは色の違いに戸惑いました。
ボトルのブルーブラックはメインで使用しているインクの中の一つで、他には色彩雫・深海や月夜などを使用しています。
一般的なブルーブラックに比べるとかなり青い色ですが、このインクもいい色なので好きな色のインクになりますが、古典インクなので少し気を遣いますね!
プラチナ万年筆を使用しているなら、どちらのインクもお手頃な価格なので、もしよければ一度使ってみてはいかがでしょうか?