ボールペンやシャープペンでは、メンテナンスと言っても何もする必要がありません。
万年筆ではペン先と本体が一体で液体のインクを補充して使用するので、どうしても洗浄などのメンテナンスが必要になります。
初めにお断りしますが、万年筆は他の筆記具に比べると、手間のかかる筆記具になります。
慣れると万年筆の状態を確認したりして楽しくなり、手間ではなくなりますがメンテナンスをしなければトラブルの原因になります。
最近の万年筆は、カートリッジやコンバーター吸入方式が多いと思うので、今回はカートリッジとコンバーターの洗浄方法をご紹介したいと思います。
私が普段している洗浄方法と、洗浄時に使用すれば便利な道具などを、一緒にご紹介したいと思います。
万年筆は他の筆記具と違い、定期的なメンテナンスが必要になりますので、今回は私が実践しているメンテナンス方法をご紹介します。
- 万年筆の洗浄の必要性について
- 洗浄するために必要な道具のご紹介
- 万年筆の洗浄する時の手順の説明
- 洗浄時の注意点について
なぜ万年筆にはメンテナンスが必要なのか!
万年筆と違いボールペンなどはインクがなくなれば、替芯を交換すればいいので、管理が簡単なので便利ですね!
他の筆記具に慣れていて、はじめて万年筆を使われた方は、定期的にメンテナンスが必要と思われない方も多いと思います。
メンテナンスと言っても、万年筆内部を定期的に洗浄をするだけなので、難しくはありません。
万年筆は液体のインクをペン先の後方から補充しながら使用するので、まったく洗浄をしなければ、万年筆内部にインクが固まってしまう可能性もあり、ひどい場合だとインクが出てこなくなり、書けなくなる可能性もあります。
そのようなトラブルを防ぐために、万年筆内部は定期的に洗浄の必要があります。
洗浄しなければ本体内にインクが固まって、ひどい場合は修理しなければなりませんので、必ず万年筆は洗浄が必要になります。
場合によっては部品交換の可能性もあり、古い万年筆では修理ができない場合もあるので、必ず洗浄はしてください。
万年筆の特徴は、ボールペンと違い色々なインクを一つの万年筆で使う事ができるので、楽しいのですがインクの種類を変更する時は必ず洗浄が必要になります。
万年筆の洗浄と言っても、基本的には内部を水で洗うだけなので、難しくはなく同じインクを使用していても2~3ヶ月に一度洗浄を心がけてください。
染料インク、顔料インク、古典インクなどのインクは基本的に水溶性のインクなので、乾燥しない限り、水洗いで洗浄する事ができます。
染料系のインクは乾燥後も水で溶けやすいのですが、顔料系のインクは乾燥すると除去することが難しくなります。
顔料系のインクは万年筆内部に少しずつインクが残留してくる可能性もあるので、年に一回ぐらいは専用の洗浄剤を使用して洗浄を心がけて下さい。
万年筆の洗浄に必要な用具について
万年筆のメンテナンス(洗浄)は、難しくはないですが、初めての方はわからないと思いますので、使用する道具などを少し解説しながら、ご説明したいと思います。
基本的に使用する道具は、価格も安く手軽に入手可能で、100円ショップやホームセンター、もしくはネットショッピングで購入する事ができます。
容器
万年筆のニブ、ペン先は繊細なので、出来れば衝撃や負荷をかけたくないので、私はガラスコップなどの縦長の容器ではなく、ガラスの小皿やスチロールで出来た小皿を使用しています。
洗浄する時に水をためて、内部洗浄するために必要な道具です。
ガラスコップなどの縦長の容器ではペン先が側面に当たったり、作業中に取り出しにくいので、私は取り出しやすいスチロールもしくはガラスの小皿を使用しています。
ペーパー
ペーパーは洗浄が終わった時に、水分をふき取る時に使用します。
ティッシュペーパーは、紙の繊維がペン先に入ったらトラブルになるので、控えています。
キッチンペーパーも紙の繊維が出ずらくていいのですが、私はキムワイプという紙粉や毛羽や繊維くずが出ずらい、工業用の製品を使用しています。
キムワイプはネット通販では、手軽に購入することができます。
あったら便利な道具
基本的には、容器とふき取り用の紙があれば洗浄可能ですが、あれば便利な道具もあるので、少しご紹介します。
100円ショップなどで販売されている道具で十分なので、よければ使用されてもいいと思います。
カメラ用のブロワー
万年筆のペン先内部を洗浄するために、ブロアーがあると便利です。
空気の風圧で洗浄ができるの?
え~っと思われる方が多いと思いますが、残念ながら風圧では洗浄はできませんね!
使用方法はブロア内部に水を吸入し、首軸の後ろからブロアで水圧をかけて、内部のインクを洗うために使用します。
本来は空気圧でカメラなどのレンズやカメラ本体に付着したホコリを除去するための道具ですが、万年筆の洗浄では、万年筆内部の洗浄に使用できます。
ブロア本体にブラシがあるのですが、不要なので取り外して使用しています。
シリンジ
必要ないかもわかりませんが、コンバーター内部に残った汚れを、除去するために使用します。
シリンジも、100円ショップで販売されていて、本来は液体の化粧品を別の容器に移すための道具です。
あまり高価なシリンジは必要ないので、価格の安い製品で大丈夫です。
万年筆の洗浄の手順について
万年筆にはカートリッジタイプとコンバータータイプがあり、最近のモデルはどちらも共用できますが、カートリッジは交換で来ますが、コンバーターは再使用するので洗浄が必要です。
カートリッジの洗浄方法
- カートリッジの洗浄方法は、使用済みのカートリッジを、万年筆本体から外します。
- カートリッジを外した万年筆を首軸後ろから、水道水などの流水でインクが出なくなるまで流します。
- 容器に水をためて、ブロア内部に水を溜めて、万年筆の首軸後ろから水圧をかけて万年筆内部の洗浄をして、インクが出なくなるまで繰り返します。
- 万年筆内部の洗浄が終わったら、必要に応じて容器に水を貯めて、数時間首軸を漬けます。
- 最後にキムワイプなどの紙で、万年筆本体の水を拭き取って、そのあと万年筆を約一日乾燥させて完了です。
コンバーターの洗浄方法
コンバーターは、万年筆のペン先からインクを吸入するための吸入容器になります。
洗浄方法は、吸入機構を使用して水をコンバーターから出し入れして、コンバーター・万年筆内部を洗浄します。
出し入れした水がインクで汚れたら、その都度水を替えてください(コンバーター内の水が透明になるまで繰り返します)
透明になってきたら、万年筆からコンバーターを外して、万年筆本体、コンバーターを個別に洗浄をします。
カートリッジの洗浄と同様に、万年筆本体は後方より、ブロアで水圧をかけて洗浄します。
コンバーターは再使用しますので、分解して洗浄が可能なものは洗浄をした方が、コンバーターをきれいに洗浄できます。
コンバーターの種類によっては、分解が難しいものがあるので、ご注意ください。
洗浄後インクの種類を変えて使用する場合は、丁寧に洗浄をしてください。
汚れのひどい場合は容器に水をためて、その中に首軸を数時間漬けて、万年筆内部のインクをすべて出し切ります。
数時間ほど水につけて放置したら、再度ブロアーで万年筆内に残ったインクを除去します。
最後にキムワイプなどのペーパーで、万年筆の水分を拭き取り、乾燥させて完了です。(普通のティシュペーパーは繊維が付着するので、あまりおススメしません。)
キムワイプがない場合は、キッチンペーパーでも構いません。
万年筆洗浄時の注意点について
万年筆の洗浄で注意点としては、ニブやペン先は精密なので、力を加えたり何かにぶつけないように、取扱いはには気をつけてください。
万年筆は水で洗浄は可能なのか…
万年筆はインクは乾燥させなければ、水で洗浄は可能です。
特に染料は水に流れるので、メンテナンスが簡単です。
染料インク
染料インクは、基本的に水に溶けて流れます。
例えばノートなどに文字を書いて、水を垂らすとすぐに判別できないぐらいに、文字は流れてしまいます。
基本的には2ヶ月~3ヶ月に一度定期的に流水で洗浄すれば大丈夫ですが、気になるようなら数時間ニブを水につけておけば大丈夫と思います。
古典インク(没食子)
古典インクは染料と鉄イオン+没食子が主成分のインクです。
製品ではプラチナのブルーブラック、クラシックインクやペリカンのブルーブラックなどがあります。
最近では古典インクは少なくなってきましたが、独特のインクなので機会があれば一度使ってみてくださいね!
古典インクは基本的には水で洗浄が可能です。
しかし長期間使用して、万年筆内部にインクの残留が気になるようでしたら、アスコルビン酸(ビタミンC)で鉄イオンなどが洗浄可能です。
古典インクを洗浄する場合は、毎回アスコルビン酸水溶液で洗浄の必要はありませんが、半年に一度くらいは洗浄をおすすめします。
アスコルビン酸は、ECサイトや薬局で販売しています。
アスコルビン酸は粉末なので水で溶かし、首軸を数時間漬けて内部の鉄イオンなどを溶かして、その後に真水で水洗いすれば大丈夫です。
顔料インク
顔料インクも水洗いで大丈夫ですが、ドライアップさせてしまったり、内部の残留が気になる場合は専用の洗浄剤があるので、除去は可能です。
顔料インクを使用している場合は、ニブや万年筆内部で固着してしまうと、水では洗浄が難しくなりますので、注意してください。
セーラー万年筆やプラチナ万年筆から、洗浄剤が販売されているので、使用されてもいいと思います。
あまりにも汚れがひどい場合は、購入した文具店やメーカーなどに、ご相談された方がいいと思います。
私は洗浄の手間などを考えて、あまり顔料インクは使用していませんが、洗浄液があるのであまり気にせずに使用する事はできます。
インク替えの時は必ず洗浄が必要です
インクの種類を変更する場合は、必ず洗浄をしてください。
色が混ざっておかしくなってしまいますし、メーカーによっては成分が違うのでトラブルの原因になります。
余談ですが…
万年筆の洗浄の時には、胴軸・キャップを外しますので、各パーツの保管には注意しください。
私も一度、キャップ、胴軸を紛失しかけて大変でした(笑)
最後に…
万年筆の洗浄は大変そうに思いますが、少し手間ですが慣れると難しくはありません。私も複数の万年筆を持っていますが、色々な万年筆を使用していてローテーションして使用しています。
常にインクを入れて使用している万年筆は2~3本ぐらいですが…
さて私は万年筆は何本ぐらいあるのでしょうね?
今は万年筆を10本ぐらいですが、毎年数本は購入していますね
既にインクと万年筆の沼にハマっていて、国産の万年筆が多いのですが、ショップオリジナルモデルで、デザインの気に入ったものなどを今後は購入したいと思っていますが…
他の万年筆は、洗浄してインクを空の状態で保管しています。1年を通してローテーションしながら、複数の万年筆を使用していますが、使用する万年筆はだいたい決まった製品が多いです。
インクの取集は、種類が多いので、ご用心を…
万年筆は高級な筆記具なので、大事にメンテナンスをして、長期間使用したいと思っています。